【キリスト教の文化】ペイガニズムを乗っ取った結果ですか?

 

上の画像は、でっかい石をならべて作られた古代遺跡「ストーンサークル」。

むかしむかし、地球征服をたくらむ魔王を倒すために、異世界から勇者を召喚するために作られたという話は聞いたことがない。
これはイギリスにあるストーンサークル(ストーンヘンジ)で、4000~45000年前に立てられたと考えられている。
理由は謎。

ストーンサークルはイギリスにたくさんあって、最近ではスコットランドで新しいものが発見されたらしい。
それは4000年前のもので、興味深いことに、そのストーンサークルの真ん中には落雷のあとがはっきりあるという。
それでこのストーンサークルが作られた目的は「雷を呼び寄せるためではないか?」という仮説が提起された。
くわしいことは「カラパイア」の記事(2020年01月06日)の記事をどうぞ。

「カラニッシュ遺跡群上部の支配的な位置に意図的に設置されたストーンサークルは、落雷が起きる確率を高めたかもしれない」と論文では述べられている。

新たに発見された先史時代のストーンサークル、雷を呼び寄せるために意図的に建設された可能性(スコットランド)

でも、雷と同時に勇者が現れたという可能性はないだろうか?

 

このまえイギリス人とアメリカ人とガストで話をしていたときに、この話題をだしてみた。
2人とも、イギリスにあるストーンサークルは宗教的な目的で作られたと考えているけど、ハッキリとは分からない。
目的が不明な理由は、紀元前2~3000年のイギリスには文字がなかったこともあるし、あとからやって来たキリスト教に「乗っ取られた」からだ。

キリスト教以前、ヨーロッパの各地で信仰されていた宗教をまとめて「ペイガニズム」という。

自然崇拝や多神教の信仰を広く包括して指し示す、印欧語圏における言葉であり、アブラハムの宗教(アブラハムの一神教)の視点から用いられている言葉である。侮蔑語や差別用語として使われることが多い。

ペイガニズム

 

「アブラハムの一神教」というのはユダヤ教、キリスト教、イスラーム教といった一神教のこと。
*ここには侮蔑語や差別用語として使われることが多いとあるけど、アメリカ人やイギリス人に聞いても特にそんなことはないと言う。

 

王や宣教師たちがヨーロッパ人をキリスト教徒にかえていった結果、ペイガニズムは姿を消してしまった。
でもペイガニズムの信仰や習慣はキリスト教に吸収されて、いまでもキリスト教の文化として残っている。

例えばクリスマスだ。
12月25日にイエス・キリストが生まれたという記述は聖書に一切なく、この日とキリスト教は本来なにも関係がない。
これはキリスト教と同時代の古代ローマにあった、太陽神ミトラスを主神とするミトラ教の習慣がキリスト教化したという説があるのだ。

キリスト教との類似からキリスト教の諸特徴がミトラス教に由来するという説が論じられることも多い。

ミトラ教


大英博物館にあるミトラス像(2世紀ごろ)

 

ガストで話をしていたとき、アメリカ人とイギリス人はクリスマス・ツリーもドイツのペイガニズムの風習を取り入れて、キリスト教の文化にしたのだと話す。
くわしいことはこの記事を。

クリスマス・ツリーと御神木:海外と違う日本人の信仰

 

他にハロウィンもキリスト教以前の、秋の収穫を祝うと同時に悪霊を追いはらう古代ケルト人の祭りが起源といわれる。
これもペイガニズムだ。

ハロウィーン

原点はケルト人の収穫感謝祭で、それがカトリックに取り入れられたとされている。

知恵蔵の解説

 

キリスト教がペイガニズムを乗っ取ってしまったから、いまではキリスト教の文化や行事のどれがペイガニズムに由来するのかなんて、ふつうの人ではわからないという。
イギリスがキリスト教化していなかったら、ペイガニズムの信仰はまだ続いていて、ストーンサークルの由来や目的もわかったかもしれない。
この点、神道と仏教が共存している日本はヨーロッパとまったく違う。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

仏教 目次

キリスト教 「目次」

イスラーム教 「目次」

ヒンドゥー教・カースト制度 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

 

4 件のコメント

  • >上の画像は、でっかい石をならべて作られた古代遺跡「ストーンサークル」。
    とありますが、ブログトップの画像が間違ってませんか? これはストーンサークルじゃなくて、どこかの教会では?

  • ペイガニズムじゃなくてシルクロードのお話になります(^^ゞ
    この前のTBS『世界遺産』の放送は中国の黄龍でした。 kokonさん行ったことがありますか?
    奥に黄龍寺があるんですがそのお寺のお祭りは龍踊りでした。 驚いたのが音楽です。
    ドンカンドンカンドンカンカンを繰り返すんですが~この音楽が私の地元の八幡神社のお祭りの曲なんです。
    中国が発祥の曲だったんですね~。 いつから八幡さんの曲になったんだろう?と興味がわきましたが調べるのも面倒なので「へぇ」で終わりたいと思います(笑)
    シルクロードでペイガニズム(宗教じゃないけど)はスフィンクスですよね。
    シンガポールでマーライオン。 中国で獅子。 琉球でシーサー。 日本で狛犬。
    シルクロードってすごいですね!

  • 黄龍には行ったことがないですが、そういう話は大好きです。
    八幡さんの音楽が中国から直接伝わったのか朝鮮半島由来なのか分かりませんが、その経緯は興味深いですね。
    いま調べてみてもわかりませんでしたが。
    奈良の正倉院にあるガラス器「白瑠璃碗」にはペルシャ帝国の影響が見られます。
    そんな時代でも地球はつながっていたんですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。